エンジンオイルに関して その1
車屋さん勤務のわりに、基本的な事を書いてませんでしたね。
エンジンオイルの種類
後で、リールのメンテナンスでオイルやグリスの種類を使い分けている事を書こうと思ってますが、「何でそんなに使い分けるの?」と思われる人が居ると思うので、自分のオイルに関する考え方を先に書いておこうと思います。
最初にエンジンオイルは何故替えるのか?という所ですが、「黒くなるから替えるんだよ」という人が居ますが、それは間違いです。エンジンオイルが汚れるのは排気ガスによるのですが、黒化するのはエンジンオイル内のベースオイルに含まれるワックス分が黒化する事が多く、ディーゼル用では10kmも走ると黒化します。又、高いオイルだと洗浄能力っが高い為、すぐに汚れを落として黒化(厳密には褐色化)します。
ガソリンが燃焼すると、必ず「水分」が出ます。また、日にちが経っても空気中の水分を吸っていきます。灯油は去年の分が残ってた、なんてファンヒーターに使ったら凄い匂いがした、そんなことは時々聞きます。空気中の水分を吸う為で、ブレーキフリュードも定期交換が必要なのは水分で「劣化」するからです。
外車の場合、ある程度エンジンオイルを爆発のタイミングで燃焼させ、減ったらオイルを継ぎ足して劣化を一定以上進めないようにして、年に1回エレメントと交換するようにしています。
本当に距離管理で大丈夫?
エンジンオイルの交換時期ですが、何故走行距離管理なんでしょうか?
フォークリフトや飛行機等は「エンジンの稼働時間」で管理されています。昔のアメ車も一部では稼働時間のメーターがあるのがあります。普通に考えると、車はアイドリングしたり高負荷走行するので「稼働時間管理」した方が正確にメンテナンス出来そうです。これは、日本みたいにアイドリング状態が長い所は少なくまた暖機運転=ゆっくり走るという概念から、「走行距離と稼働時間は比例する」ものとしてタイヤ等の管理や仕事で使う場合、走行距離管理の方が都合がいいからだそうです。
そこで、車も時間管理で考えるべきと考えます。新車の場合、出来るだけ空気を抜いてオイル補充するらしく、「3年15000kmまでは交換しない」というエンジンがちらほら見受けれますが、その後は定期的に交換すべきです。日本は外国と違うので、取説に書いてあるオイル交換の記述は「シビアコンディション(通常のメンテナンスの半分)」で交換が必要となります。
オイルの交換時期ですが、ベースオイルや添加剤の寿命に準じます。ここは「賞味期限」「消費期限」があるように、期限の捉え方も人それぞれですが、さすがに1年前のてんぷら油で揚げたてんぷらを食べたくない様に、1年毎に交換は必要だと思います。
ベースオイルって?
エンジンオイルを買いに行くと、値段がバラバラだと思います。
エンジンオイルは「化学合成油」「鉱物油」と両方を混ぜた「部分化学合成油」の3種類に分かれます。因みに、ガソリンオイルを大雑把に分けると4種類に大分されますが、ディーゼルオイルは16種類と、エンジンオイルはディーゼル主体で作られています。
金額の違いは、添加剤を抜いたベースオイル(80%はベースオイルといわれてます)の性能の差です。本来、ベースオイルは5種類に分けられますが、よく使うのは3種類ですのでそちらの分別から。
鉱物油・・・オーソドックスなベースオイルです。ワックス分を含みますが、安価で安定しています。また、産出国でも性能の差が出やすいです。因みに、植物油もありますが極めて短命で、ほとんどレース用です。
PAO・・・合成油のベースオイルです。添加剤の効果が出やすい反面、オイル自体に潤滑性は無いので添加剤との組み合わせが大事です。高温安定性が高い事からも、スポーティ走行車用という感じです。PAOは金額が高い。
エステル・・・最近の車は先ず「オイルありき」でエンジンやCVTが作られてますが、このエステルもそういう意図で作られています。優れた低い低摩擦係数や高温安定性が特徴で、プリウスの0W-20やアクアの0W-16,ホンダの0W-8等はこのエステルが無いと出来てなかったかもという位凄いベースオイルです。価格もそれほど高額でない反面、唯一の欠点は吸水率が高いのです。
どれ位エステル系が吸水率が高いかというと、オイルメーカーさんは3か月毎のオイル交換を勧める位です。特にプリウスなどのエンジンは、他のエンジンの設定温度が80度位で、ぎりぎりオイルの水分が蒸発を始めるのに対し、70度位と水分が飛びにくいので、ハイブリッド車だからエンジンが動いているのは普通車の半分だからオイル交換は先でいい、なんて考えてるとエンジンを壊します。
PAOは、外国で1年毎・・なんて書きましたが本当に1年毎でもいいくらいです。鉱物油は半年毎位です。距離は5000km位で書いてありますが、半年で5000kmを超えてもそれほど問題は無いですが(オイルは減るので残量注意)、期間はきっちり守った方が壊れにくくなります。
モービル Mobil SP3000 0W20 SN 4L ガソリン車用オイル 117148posted with カエレバ
モービル Mobil 0W-40 SN 4L ガソリン車用オイル 117086posted with カエレバ
Mobil (MOCDZ) モービル1 ESP フォーミュラ5W30 4L 117377 SN/CF C3 DL-1posted with カエレバ
最近の車、特にプリウスなどはクーラーコンプレッサーのオイルはエステル系です。3か月毎に交換はしなくても良いですが、やはりエステル系2年毎にでもクーラーガスオイルの交換はやった方がいいです。まりクーラーガスオイルの交換なんて聞いたことないよ、という人も居るかもしれませんが、実は最近流行っています。うちの会社も機械を買ったくらいですから。最近の車はリキッドタンクが無いので、そちらも定期的な交換をオススメします。
プリウスは、駆動用バッテリーは殆ど寿命を迎えませんが、5年位した時にクーラー修理で15万円前後かかり、そのまま廃車した車がある位です。解体屋さんにはエンジンが壊れた7年以下プリウス・アクアが意外と多く置かれていますから、駆動用バッテリー以外の原因で廃車というのが多い→やはりハイブリッド車はメンテナンスも特殊という気がします。
粘度って?
粘度って何?と聞かれますが、実はよく分かりません。
86の取説に使用オイルとして、「0W-20」「5W-30」「10W-30」「5W-40」とか書かれていたと思いますが、どれが正しいのでしょうか?
0Wとか5WとかのWはウインター、つまり低温度時の油膜の安定性で数字が小さくなると粘度は下がります。そしてー20とかー30は高温域での油膜で、これまた数字が少なくなると粘度が下がり、アメリカの規格から「10W-30」という書き方で表記するようになりました。
問題は、同じ10W-30でも粘度指数はメーカーや作り方によって違うという事です。そうなってくると、粘度って何?となってきます。見て解る様に、粘度ではなく温度を基準にしてるからです。
更に言えば、金属を何度も曲げ伸ばししていると金属疲労で硬さが変わる様に、オイルも稼働時間が増えると粘度は下がります。所謂10W-30が半年後には0W-20になってるので、更に粘度って何?という悩みの種になります。
更に、外車の場合、「この規格で作ってね」とオイルメーカーに作らせているのですが、その粘度が5W-30と書いてあっても実質5W-40と同等(実際にオイルメーカーのHPに書いてあります)なって事もあり、迷う原因になったりします。
86のオイルも4種類記載があって、実際の粘度ってどう考えればいいの?となったりしますので、自分が優柔不断なだけではないと思いたいです。
オイルメーカーさんは、会社によってオイル粘度が違っても、例えば「5W-30」を使って欲しいとしたら「5W-30」に合わせるのがいいという事です。そして、86の場合、新車から5万km以内なら「0W-20」か高速主体なら「0W-30」位にします。5万km超えたら「5W-30」「5W-40」にし、使い続けることで粘度低下を起こす事は、早めの交換で対応するという考えですね
エンジンがどの粘度辺りを考えているかは中々解りませんが、その辺は推理していくしかないと思います。自分のZC31Sはトルク型エンジンですから、NAエンジンでも高温域は30は欲しいはずで下は基準は5Wですが10W(始動温度は5度しか違わない)でも問題ないとして10W-30を入れてます。これを1年・1万kmの間にオイル交換を3回やってます。もうすぐ20万kmですが、コンプレッションは13.0で大体揃ってます。
グレードって?
オイルのグレードでよく「SN」「SM」とかの記載があります。これはグレードが進むと良いオイル・・・、という訳ではありません。排ガスの為の高性能オイル化であって(省燃費化は副産物です)、昔のエンジンに高性能オイルを入れてもあまり意味はありません。ある会社が、同じ車2台にモービルの普通の奴と高い奴を入れ続けたのですが、普通の奴は34万kmでエンジン載せ替えで高い奴は38万kmでエンジン載せ替えしましたから、高いオイルで寿命がどこまで変わるかは微妙な結果となりました。オイルの価格差を考えるとほんとに微妙です。
よくレース用の高いOO車用専用オイルとありますが、どこまでいいのかはわかりません。ラリーでSSが300kmで、400kmだけ持てばいいオイルを開発してタイムアップした話は有名ですが、OO車用オイルが高いのは少量生産の為高くなってるだけでタイムアップや耐久力アップはまた別の話です。べースオイルと添加剤でエンジンオイルは出来てますが、添加剤は世界で5社しか特許を持ってないので少量生産だと金額が上がりやすく、化学合成油で専用化するともっと高くなります。
ただ、添加剤は高温域の連続使用で劣化が激しく、サーキット走行1日で交換が必要と言われるくらいで、高いオイルを使ってもサーキットに行くと短命という事になり、長寿命化は難しくなります。高いオイルが必ずしもいいオイルとは限らないのですね。
グレードは排ガスに合わせ、化学合成か鉱物油か部分化学合成油かは粘度指数をメインにし次いで金額に合わせます。粘度と化学合成等の選択は、本当は数値化出来れば数値化し、出来なければ体感で合わせていくのが正解かと思います。
そうなってくると、正解にたどり着けるか不安になってきますが、その迷ってる最中が自分は楽しいと思ってしまうんですよね。本当は、自分のZC31Sはe-manage ultimateを取り付けているのですが、これでスピードまでログデータで出力できると、このオイルの時に60kmになるまでのタイムがこれ位と解って「これが良い」と解るんですが、今の所体感に頼ってるので本当にいいかは・・・自己満足の世界なので良いと言えば良いのですけどね。
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